これまでの上映

敬老の日は、代官山で湯治しよう。

2010.9.20.月.

【上映】:「湯の里ひじおり~学校のある最後の1年~(監督:渡辺智史/2009/76min)」

湯治とは湯浴みや茶飲みに時間を費やし、何もしないで身体を横たえることです。つまりお湯に入る以外は「なにもしないこと」。

現代においてそんなもっとも素朴でぜいたくな湯治が、広く知られることなく連綿と伝えられてきた山形県の肘折温泉は、平安時代に開湯された1200年の歴史をもつ湯治の里、東京からだと山形新幹線に揺られて終着駅の新庄駅までおよそ4時間ほどで、それからこんどはバスに揺られて一時間、肘折温泉郷は山あいのなか静かにたたずんでいます。

肘折温泉を抱える月山は羽黒山、湯殿山とあわせて出羽三山と呼ばれ、自然崇拝にはじまる山岳信仰から派生していった修験道の山です。

白装束の行者たちは肘折温泉で身を清めたわけです。

そんな肘折に暮らす人々は「旅館はお部屋、道路が廊下」なんていう豊かな仲間意識をもって、利益の独占をすることもなく共存をしています。

そう、街全体が一つにまとまり、住民全員で湯治客を迎えて・・・

少子化の波を受け閉校を迎えようとする肘折小学校と、ホコリを被ったトランペットを十数年振りに再び手にした青年団の一人。

高齢化と過疎化が押し寄せる地方で、自らが育った土地への誇りをもって地域の再生を思う肘折の人々が輝いています。

日本人なら忘れようにも忘れられない温泉の心地、まるで温泉に浸かっているような湯治ムービーが、心地よくキネマれんず豆に登場します。

湯治にぴったりな「敬老の日」には、代官山でゆるゆると湯に浸かるような映画鑑賞をどうぞ。

開 12:00 演 12:30 ・ 前 1,000 当 1,000 +1D 500

ランチのご用意があります。

◯上映を終えて、館長より◯

「敬老の日」は国民の祝日のひとつで、祝日法に曰く「社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」一日です。

皆さんはどんなかたちで敬老をしましたか?

ここ、晴れたら空に豆まいてでは「湯の里ひじおり~学校のある最後の1年~」の上映を「キネマれんず豆」でしました。

この映画は山形県の湯治場、ひじおり温泉を舞台にしたココロもカラダもあたたまる湯治ムービーです。

登場する湯治客のみなさんも魅力ある老人のかたが多く、肘折り温泉でゆっくりと一年の疲れを癒すその姿に、キネマれんず豆に来場されたお客さんの多くが敬老の思いを重ね合わせたはずです。

今作もお昼の上映でしたが、軽食として「れんず豆のポタージュスープwクロワッサン」を500円でご用意させていただきました。

当店おなじみの人気おつまみ「豆の盛り合わせ」と「黒糖そら豆」も、多くの方に楽しんでいただけたようです。

いわゆる映画館ではできないことのひとつ、キネマれんず豆ではお昼に桟敷席で足を投げ出してビールを飲むことだってできます。

湯治客さながら、ゆるゆるとした観賞はいいものです。

なお、この映画を初監督された渡辺智史監督の次回作は「よみがえりのレシピ」という、これまた山形の在来作物とその種を巡るドキュメンタリー映画です。

地域とともに創作活動を続けていくこと、それは閉ざされがちな地域を世界へ発信することであり、傲慢になりがちな世界が地域から学ぶことでもあります。

われわれの敬老の思いが、ちいさな代官山の地下からとどきますように。